専門性と営業力の両立こそ、
みずほ信託の
コンサルティングの真髄──
そのDNAを次代へ

OB INTERVIEW 02

お客さまをよく知り、本気で考える。そして、高度な専門性を、しっかりと届け続ける。この積み重ねこそが、みずほ信託銀行が築いた競争力の源泉だ。コンサルティング部門のOBと現役世代の対話を通し、顧客との関係性を前に進め続ける実践知――接近・展開・連続の本質と、それを次代に託す思想を探っていく。

PROFILE

町長 直幸

みずほリース株式会社
エグゼクティブ・アドバイザー

町長 直幸

1988年、安田信託銀行(株)に入社。みずほ信託銀行(株)コンサルティング部長、同 個人業務部長、同 執行役員 本店営業部長、同 常務執行役員(リサーチ&コンサルティングユニット長 兼 コンサルティング本部長)、(株)みずほプライベートウェルスマネジメント 取締役社長、みずほリース(株)執行役員を経て現職。

  • 大橋 香理菜

    コンサルティング部

    大橋 香理菜

  • 関根 麻由子

    コンサルティング部

    関根 麻由子

  • 板東 香苗

    コンサルティング部

    板東 香苗

「接近・展開・連続」で信頼を積み重ねる──
行動で貫いてきたコンサルタントの原点

大橋 町長さんは1988年に入社され、コンサルティングの最前線で過ごしてこられました。金融不安や信託法の改正など激動の変化の中で、大切にしてきた信条は何でしょうか。

町長 社会人の38年のうち、コンサルティング部で24年間を過ごさせていただきましたが、突き詰めると、やってきたことはごくシンプルです。お客さまをよく知り、その人のことを本気で考える。「この人の役に立ちたい」という気持ちを、常に行動の起点に置く。その姿勢だけは、どんな環境でも変わらなかったと思います。

この信条を、私は早稲田ラグビーの真髄「接近・展開・連続」になぞらえています。お客さまにまず接近して、関係を展開して、そして間を置かずに連続して打ち返していく。1年に1回会って10年かけて10回訪問するよりも、毎週訪ねて10週間で10回会うほうが、関係は圧倒的に進化しますよね。

接点を持ち続け、宿題をもらい続けて関係を深めた先に、真の意味での「自分のコンサル先」が生まれます。そのためには「全人格勝負」が欠かせません。自己啓発を怠らない。実務経験を積み、自分の領域を制限しない。事前の準備を徹底し、「早く・良く・わかりやすく」伝える。そのすべてがコンサルティングを支える土台になります。

板東 接近・展開・連続のキーワードは、どのような現場の取り組みを経て、町長さんの中に根づいていったのでしょうか?

町長 思い出深いのは、名古屋で担当した歴史ある優良企業です。当時はまだお取引のない先で、社長にお会いすることすら困難でしたが、ご紹介を通じて「事業承継を見据えた上場について、君の提案を聞きたい」と、決算書を託していただいた。そこから私は毎週、多いときは週2回ほど名古屋へ通い詰めるようになりました。提案をぶつけては宿題をいただき、1週間後に回答を持っていく。この“連続攻撃”を繰り返す中で、面談後に社長がわざわざ自転車で追いかけてきて、「さっきの件、もう一つ聞きたい」と声をかけてくださるほど深い信頼関係を築くことができました

当時は、お客さまに年間100回以上訪問するような猛者もいた時代です。お客さまが組織の看板ではなく「私」という人間を信頼してくださった、まさに本質的な「連続」が結実した経験でした。

関根 「全人格勝負」の姿勢は、今の私たちが取り組んでいる銀行・証券などとの連携においても不可欠だと感じます。連携の道を切り拓かれた原点についてお聞かせください。

町長 安田信託が富士銀行の子会社となった際、当時の笠井会長が私たちの活動を見て、「富士銀行のオーナー企業先をコンサルティング部に開放しよう」と号令をかけてくださったんです。そこで富士銀行側のメンバーとチームを組み、連携のモデルをゼロから立ち上げました。まさにゼロからのスタートでしたが、20件、50件、100件と実績を重ねてお客さまから評価をいただく中で、企業オーナーへの有効な武器としてグループ内で認知されるようになりました

この一歩が、現在の〈みずほ〉の一体的な動きにつながっています。みずほ信託(当時安田信託)がオーナーに刺さる独自の武器を手に、グループ内の信頼を勝ち取る基盤を築けた――これは今でも私の誇りです。

強さは、人と文化から生まれる──コンサルティング部の競争力の源泉

板東 20年以上現場に携わった中で、コンサルティング部の強みをどう定義されていますか?

町長 今でこそコンサルティング部は、〈みずほ〉の中で「組織の機能」として頼られる存在になっていますが、当時は決してそうではありませんでした。松尾さんや川久保さんといった突出した個人に引っ張られる、どこかゲリラ的な立ち位置だったと思います。

だからこそ、「この強さを属人的なものに終わらせてはいけない」という思いは、常にありました。本当の競争力は、知見を支える仕組みや風土、すなわち「組織文化」にあるというのが私の結論です。当時、他行の事業承継やプライベートバンク領域ではベテランが担当するのが常識でした。「経験豊かな人間でなければ経営者や富裕層には通用しない」という固定観念があったからです。

しかし、私たちはあえて若手を第一線に送り込んできました。人生経験では敵わなくても、真摯に教えを請い、懐に飛び込む。その上で誰よりも徹底的に調べ、考え、提案を磨き抜く。その熱意が、「自分のために、ここまでやってくれるのか」という驚きが、お客さまに刺さるのです。得た知見は出し惜しみせず共有していくし、後輩には自分を超えていってほしい――そんな想いのもとで培われてきたのが、「知を組織の力に変える」部のDNAです。ここに「徹底的にやりきる若さ」がかけ合わさることで、他にはない強靭な競争力が磨かれてきたのです。

大橋 日頃の共有や相談の習慣が、実は諸先輩が継いでこられた文化そのものなのだと気づきました。それにマッチする「徹底的にやりきる」強みを象徴するエピソードをお聞かせください。

町長 かつての安田信託は、メイン先は少なく、知恵で勝負するしかありませんでした。お客さまの役に立つことに徹するしかなかったのです。だからこそ、徹底的な顧客志向が育ったのだと思います。たとえば、歴史ある老舗メーカーの案件では資産整理から海外不動産の処分、倉庫に眠る世界的名画の売却まで、私たちがあらゆる処理を引き受けました。通常の信託業務を超える局面も多々ありましたが、真の課題に応えるためならどんな壁も厭わず踏み込んでいく。この「はみ出す精神」にこそ、みずほ信託のコンサルティングの真髄があると考えています。

関根 領域を決めず、すべてをやり抜く。その伝統を時代に即したものにしていくための鍵はどこにあるでしょうか?

町長 現在は年間死亡者数が160万人に達する“大相続時代”で、信託が果たすべき役割はますます拡大しています。現役の皆さんに伝えたいのは、専門性を極める矜持を持つと同時に、決して「専門バカ」にならないでほしいということです。自身の専門領域というベースを持ちながら、そこから一歩、二歩と踏み出していける人こそ、現場で真の価値を発揮できます。

もうひとつ不可欠なのが、高度な専門知を平易な言葉に落とし込み、相手の心に響く形で伝える「翻訳能力」です。どれほど複雑な事象でも、相手の立場に立って噛み砕き、腑に落ちる言葉で届ける。その力を持ってほしい。

結局のところ、求められるのは「専門性と営業力の高次元での両立」です。知見を土台に据えながら、それを人に伝える力も磨き抜く。その双方をどこまでも高め続けること。それこそが、これからのみずほ信託のコンサルタントがめざすべき到達点だと確信しています。

人を育てることが、未来をつくる──
みずほ信託のコンサルティングが託すもの

大橋 ここまで伺ってきたコンサル部の強み、そのDNAを、いかにして後進へと託してこられたのでしょうか。

町長 属人化した強みは、一代限りで途絶えてしまいます。「背中を見て学べ」という精神論だけでは、組織としての再現性は担保できません。でも、コンサルティング部は違いました。成功事例はすぐに横展開し、相談し合い、教え合う。知識やノウハウは個人のものではなく、部全体の共有財産として扱う。それが文化として、当たり前のように根づいていたのです。

私は、その文化を途切れさせてはいけないと思いました。だからこそ、どの店舗でも高い品質を再現するセブン-イレブン型の強さを理想としてきました。そこには圧倒的な仕組みと工夫があるからです。理念を現場につなぎ続け、愚直な改善を繰り返す。その積み重ねが、誰が担当しても品質がにじみ出る組織を創り上げます。

根幹は人材の育成です。自分が100の成果を出し、同様の人材を10人育てれば力は1,000になる。その連鎖こそが、組織の価値を最大化させます。私自身、鞄持ちとして現場で徹底的に鍛えられた原体験があるからこそ、部下と深く向き合う育成環境の構築に心血を注いできました

関根 それが、惜しみなく手をかけて育てていくコンサルティング部の風土ですね。町長さんが実践されてきた対話について、あらためて教えてください。

町長 節目に設けた「部下と本音で向き合う対話」ですね。これは、私自身が若い頃、川久保さんの下で経験したことが原点になっています。

具体的には、四半期などの区切りで、自分が何に取り組み、どんな思いを抱き、そして今何ができていないのかを、A4のシートにまとめてもらっていました。重要なのは、理想の姿ではなく、現実の自分をさらけ出すことです。当時、私は見栄を張らず、ありのままを書きました。それに対して、上司の川久保さんは自身の経験や想いを込めて、真正面から返してくれた。キャリアが違うからこそ見えている視点で言葉をもらえたことで、自分の立ち位置がすっと腑に落ちた感覚がありました。

その体験が強く心に残っていたからこそ、私も同じ対話を次の世代につなぎたいと考えたのです。そして、人を教えることは、同時に「自分自身を律する」ことでもあります。言行一致していない上司の言うことは、誰も聞いてくれません。教える側である上司自身もまた、否応なく姿勢や言葉を問われることになる。この往復こそが、人を育てるうえで欠かせないプロセスです。自らもまた磨かれ、成長し続ける。それこそが、育成の真髄だと私は思います。

板東 組織の強さの源泉が見えたように感じます。最後に、〈みずほ〉の次世代を担う社員へメッセージをお願いします。

町長 事業承継、ガバナンス改革、アクティビスト対応。現代の最前線にある重要テーマは、すべて信託の機能に直結しています。信託は常に「時代のど真ん中」にある。現役の皆さんは、自分たちの仕事の価値に自信を持ってください

そして、グループの仲間に対し、みずほ信託銀行が持つ信託の武器を能動的にアピールしてください。専門家としての自負を持ち、働きかける。遠慮は不要です。課題に刺さる武器を使いこなし、喜びを分かち合い、収益に貢献し、自らも成長していく。この「正のサイクル」こそが、みずほ信託のコンサルティングの真の醍醐味です。

もう一つ、信託の仕事は「長期戦」です。遺言、不動産、年金、証券代行。これらはお客さまと数年単位で誠実を積み重ねる仕事です。目先の成果に捉われず、じっくりと腰を据えて向き合う姿勢が不可欠です。信託とは、文字通り「信じて、託される」仕事。重い責任を伴いますが、応えられたときには代えがたい誇りがあります。次の100年に向けて、常にお客さまの方を向き、胸を張って歩んでください