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社長メッセージ

信じて託される存在に
みずほ信託銀行は1925年、お客さまの利益を第一に相互の繁栄を目指す、という理念のもと、共済信託株式会社という社名で創立しました(翌年に安田信託株式会社へ変更)。以来100年に渡り時代の荒波を乗り越えてきましたが、その過程で3つの大きな苦難と危機がありました。最初は1929年。世界恐慌の影響で信託財産が大きく減少しました。次は1945年の終戦直後。急激なインフレは長期資金をお預かりする我々にとって強い逆風となりました。最後は1997年。これが最も大きな変化ですが、金融不安が高まる中、親密先であった山一證券の破綻により当時の安田信託銀行も非常に苦しい経営状況となり、預金の取り付け騒ぎも起きました。その後、みずほフィナンシャルグループの信託銀行となりましたが、その過程でビジネスの中心を財産管理業務に大きくシフトしました。我々はこの100年の歴史の中で、財産管理と長期金融の機能を併せ持つフルラインの信託銀行から、強みである財産管理に特化し、グループのお客さまにその機能を提供する信託銀行に変化してきたのです。
信託の歴史を振り返ると、信託法施行は1923年。上記の通り1925年に我々の前身である共済信託が創立したので、我々の100年は概ね信託の100年と重なります。信託業界は社会の変化やお客さまのニーズに応えるべく、財産管理と長期金融の機能を有機的に結び付け、商品を開発してきました。国民の資産形成と重厚長大産業への資金供給をつなぐ「貸付信託」は代表的な商品で、これにより信託銀行の業容は大きく拡大することになりました。そういった中で、我々も国民経済の発展に資する新種業務を開発し、国民に提供することが当行の使命として、業界の先駆けとなる商品を開発してきました。例えば、企業で働く人の老後福祉・貯蓄形成につながる「年金信託」、従業員の経営参画意識向上・財産形成に資する「従業員持株信託」、ファイナンス業務の新スキームとして「リース料債権信託」、公有地の「土地信託」等、我々が業界第一号となる案件を開発・受託しています。
100年の歩みを経た我々には、アイデンティティとも言える強みが3つあります。
一つ目は、「社会や時代の変化に対する柔軟性」です。
例えば証券代行業務として行う伝統的な株主名簿管理について、企業と機関投資家をつなぐ結節点の立場を活用しIR/SRコンサルティング*をスタートするなど、環境変化にあわせてビジネスを柔軟に変化させていく対応力があります。
*IR:Investor Relations、SR:Shareholder Relations
二つ目は、「お客さまに喜ばれる仕事をしようという強い信念」です。
1980年代、金融に関する規制緩和や企業の資金調達が間接金融から直接金融にシフトする過程で”貸付信託銀行”としてのビジネスモデルが崩れつつある中、お客さまに喜ばれる仕事をするにはどうしたらよいか模索した時期がありました。結果、信託銀行の様々な機能やノウハウを活かし、金融機関の中でも先駆的に企業オーナー向け事業承継コンサルティングをスタートしました。これが現在、みずほ信託銀行のみならず、みずほフィナンシャルグループの知恵袋であるコンサルティング部の源流です。お客さまの課題をともに乗り越え、お客さまに感動を与える。そこに我々が喜びを感じる。前述の創業理念と繋がる我々の原点であり、みずほフィナンシャルグループのパーパスである「ともに挑む。ともに実る。」にも相通ずるものだと思います。
そして三つ目は、「専門性」です。
一つ目と二つ目はつながっており、そこを裏付けるのが専門性だと思います。信託銀行員は専門性を磨き上げようという高い意欲を持ち、鍛錬を積むべきですが、当行社員の専門性に対する意識は高いと思います。信託のビジネス領域は広いので、不動産や事業承継など自分の得意分野の専門性を磨き上げ、その分野で尖っていくことが重要だと思います。
環境変化が激しい今、お客さまの悩みや課題は多岐に渡るため、我々が強みを活かし知恵を出すチャンスは多くあると思います。創業理念とパーパスという土台の上で、先人が切り開いてきたお客さまと社会課題に寄り添ったソリューション型の営業スタイルをしっかり受け継ぎ、我々も新たな道を切り開いていくことで、次の100年においても「信じて託される存在」でいることができると思います。
信じて託されることは、簡単なようで実は難しいことです。信用と信頼は異なり、信頼されるには信用してもらう必要がありますが、信用してもらっただけでは託されることはありません。信頼され、託されるためには、専門性は当然のこと、高い職業倫理や、この人は本当に頼れる、安心して任せられるという人間性が必要です。そして何より、みずほ信託という組織に対しそう思ってもらいたい。だから私は就任以来、「信じて託される存在」になるというメッセージを内外に発信しており、この100周年のキーワードにもしています。
2025年度は100周年の様々な企画を通じ、「信じて託される存在」になるための社員のチャレンジを「TRUST100宣言」として纏める予定です。チャレンジの内容は大小様々と思いますが、社員にはこれまでの歴史を再認識してもらい、これを土台に新たな挑戦や社会課題解決に向けたアクションに繋げてもらいたい。そしてお客さまには、信託の可能性の広がりや、我々のコンサルティング力と専門性を知っていただくきっかけにしてもらいたいと思います。
100周年の年度がスタートする2025年4月1日、みずほ信託銀行が起点となりみずほフィナンシャルグループのお客さまのニーズに応えていく、という狙いをより遂行しやすい体制とするため、組織を再編しました。未来の100年に向け、この体制でスタートします。我々は「信じて託される存在」となるため、これからも力強く、歩みを止めず、お客さまとともに前に進んでいきます。その先にきっと、お客さまに感動を提供し、我々も素晴らしい喜びを感じることができる未来があると信じて。
取締役社長
