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みずほ信託銀行
個人業務部

望月 愛実

新宿支店 成城トラストラウンジ
樫谷 亮

遺したい思いを未来につなぐ
志を持った「遺贈寄付」が社会に届くとき

自分の遺産や相続した財産を社会のために寄付したい――価値観や社会の変化を背景に、「遺贈寄付」への関心が高まっている。みずほ信託銀行は2023年にREADYFOR株式会社と業務提携し、遺贈寄付先の提案や手続きをサポートする体制を整えた。提携に携わった個人業務部と、現場でお客さまの課題解決を支える営業店のメンバーが、信託銀行ならではの仕組みと、本提携のキーワードである「フィランソロピー」への想いを語る。

樫谷 亮

震災やコロナ禍で価値観が変わりゆく中
「遺贈寄付」への関心が高まっている

――「フィランソロピー」というキーワードが注目される中、「遺贈寄付」への関心も高まっています。どのような背景があるのでしょうか。

望月:「フィランソロピー」とは、「人々の幸福、健康、QOL(生活の質)の向上を目的とした、さまざまな奉仕活動」を指すことばです。心身ともに豊かな暮らしを生活につなげるウェルビーイングや、環境に配慮して持続的な社会のあり方を考えるサステナビリティなどと共に、時代のキーワードとして関心が高まっています。

樫谷:私は相続をはじめ、さまざまなご相談に応じるトラストラウンジでコンサルティングを提供しています。フィランソロピー、つまり社会貢献の意識が高まったことで、私たち信託銀行のお客さまから「遺贈寄付」へのお問い合わせをいただく機会が増えてきました。遺贈寄付とは、「公益法人や団体に自分の遺産や自分が相続した財産の一部または全部を寄付すること」です。寄付先は、教育機関や医療機関、国際協力団体、環境や子ども、貧困に関する活動をしている団体など、さまざまです。個人の遺産についても「困っている人や社会・公共に役立つように使ってほしい」という想いを持たれる方が増えてきているのです。

望月:東日本大震災をはじめとする天災が頻発し、近年はコロナ禍もありました。こうした時代背景もあり、自分も何か社会の役に立ちたい――そのような意識が高まってきたと感じています。また、ライフスタイルや価値観が変わり、家族のあり方や構成も多様化しています。具体的には、身の回りの整理や財産の相続を考えていく「終活」に向かい合う方が増えていること、そして単身者や夫婦のみの「おひとりさま・おふたりさま」世帯が増えたことが挙げられるでしょう。このような社会の変化から、フィランソロピーが共感を集め、遺贈寄付という行動として検討されているのでしょう。

――みずほ信託銀行は遺言・相続・資産承継の支援を通して、そしてグループ連携を生かして資産承継のニーズに応えてきました。長年のノウハウの蓄積で、遺贈寄付をどのようにサポートしていますか。

樫谷:遺贈寄付に関心を持っているものの、「どのように手続きを進めたらいいのか分からない」「遺産が自分の意思に沿って使われるかどうかが不安」といった悩みをお持ちのお客さまが多くいらっしゃいます。そのような“想い”に応えるのが、遺言信託の業務に精通する承継コンサルタントです。おひとりさまやおふたりさまの場合、遺産を相続する方が不在なことが多くなります。このようなケースでは、遺産の一部ではなく全財産を遺贈することになります。自宅などの不動産をどのように現金化するかという課題も考えなければなりません。現金以外の遺贈寄付に対応していない団体もあるからです。

望月:遺贈寄付にあたっては、「みなし譲渡課税」が発生する場合もあります。不動産を法人に遺贈する際、取得した時よりも値上がりしていた場合は、みなし譲渡税が相続人に課税されることがあるのです。このようなケースでは税制への目配りが必要ですし、相続人がいる場合は遺贈前にしっかりと確認し、理解を得ておかなければなりません。このように、遺贈寄付は押さえておかなければならないポイントがいくつかあります。

私たちは信託銀行として、遺言書作成をはじめとして資産を「ひきつぐ・のこす」サポートを長年にわたって重ね、ノウハウや知見を蓄積してきました。ただし、冒頭で説明したように、フィランソロピーへの意識の高まりを受け、遺贈寄付のご要望が増えています。その中で、お客さまの思いに、さらに寄り添う仕組みへとアップデートする必要性も感じるようになっていました。

樫谷 亮

震災やコロナ禍で価値観が変わりゆく中
「遺贈寄付」への関心が高まっている

――「フィランソロピー」というキーワードが注目される中、「遺贈寄付」への関心も高まっています。どのような背景があるのでしょうか。

望月:「フィランソロピー」とは、「人々の幸福、健康、QOL(生活の質)の向上を目的とした、さまざまな奉仕活動」を指すことばです。心身ともに豊かな暮らしを生活につなげるウェルビーイングや、環境に配慮して持続的な社会のあり方を考えるサステナビリティなどと共に、時代のキーワードとして関心が高まっています。

樫谷:私は相続をはじめ、さまざまなご相談に応じるトラストラウンジでコンサルティングを提供しています。フィランソロピー、つまり社会貢献の意識が高まったことで、私たち信託銀行のお客さまから「遺贈寄付」へのお問い合わせをいただく機会が増えてきました。遺贈寄付とは、「公益法人や団体に自分の遺産や自分が相続した財産の一部または全部を寄付すること」です。寄付先は、教育機関や医療機関、国際協力団体、環境や子ども、貧困に関する活動をしている団体など、さまざまです。個人の遺産についても「困っている人や社会・公共に役立つように使ってほしい」という想いを持たれる方が増えてきているのです。

望月:東日本大震災をはじめとする天災が頻発し、近年はコロナ禍もありました。こうした時代背景もあり、自分も何か社会の役に立ちたい――そのような意識が高まってきたと感じています。また、ライフスタイルや価値観が変わり、家族のあり方や構成も多様化しています。具体的には、身の回りの整理や財産の相続を考えていく「終活」に向かい合う方が増えていること、そして単身者や夫婦のみの「おひとりさま・おふたりさま」世帯が増えたことが挙げられるでしょう。このような社会の変化から、フィランソロピーが共感を集め、遺贈寄付という行動として検討されているのでしょう。

――みずほ信託銀行は遺言・相続・資産承継の支援を通して、そしてグループ連携を生かして資産承継のニーズに応えてきました。長年のノウハウの蓄積で、遺贈寄付をどのようにサポートしていますか。

樫谷:遺贈寄付に関心を持っているものの、「どのように手続きを進めたらいいのか分からない」「遺産が自分の意思に沿って使われるかどうかが不安」といった悩みをお持ちのお客さまが多くいらっしゃいます。そのような“想い”に応えるのが、遺言信託の業務に精通する承継コンサルタントです。おひとりさまやおふたりさまの場合、遺産を相続する方が不在なことが多くなります。このようなケースでは、遺産の一部ではなく全財産を遺贈することになります。自宅などの不動産をどのように現金化するかという課題も考えなければなりません。現金以外の遺贈寄付に対応していない団体もあるからです。

望月:遺贈寄付にあたっては、「みなし譲渡課税」が発生する場合もあります。不動産を法人に遺贈する際、取得した時よりも値上がりしていた場合は、みなし譲渡税が相続人に課税されることがあるのです。このようなケースでは税制への目配りが必要ですし、相続人がいる場合は遺贈前にしっかりと確認し、理解を得ておかなければなりません。このように、遺贈寄付は押さえておかなければならないポイントがいくつかあります。

私たちは信託銀行として、遺言書作成をはじめとして資産を「ひきつぐ・のこす」サポートを長年にわたって重ね、ノウハウや知見を蓄積してきました。ただし、冒頭で説明したように、フィランソロピーへの意識の高まりを受け、遺贈寄付のご要望が増えています。その中で、お客さまの思いに、さらに寄り添う仕組みへとアップデートする必要性も感じるようになっていました。

望月 愛実

遺贈寄付を、さらに利用しやすく
協業による新たなサポートのかたち

――遺贈寄付への関心が高まっている現状がわかりました。そこで「お客さまの思いに、さらに寄り添う仕組み」について掘り下げてお聞かせください。

樫谷:私たち承継コンサルタントは、中立の立場で遺言書の作成をサポートする必要があるので、遺贈寄付をサポートする際も「寄付先選びや財産配分の具体的なアドバイス」ができません。寄付先のセレクトを含めて相談に乗ってほしいというお客さまの場合、寄付先の決定に時間がかかってしまうこともあります。また、どの団体にいくら寄付するかがあらかじめ決められていれば、遺言書の作成もスムーズに進みます。しかし、情報が整理しきれず、どの団体にどれだけ寄付するかがなかなか決められない場合、どうしても進行が滞りがちになっていたのです。

望月:お客さまが、より自分らしく、そしてスムーズに遺贈寄付ができないだろうか――私たちはこのように考えて検討を進め、READYFOR株式会社と提携を進めました。この提携により、お客さまの意向を尊重した遺贈寄付の支援が視野に入ったのです。

樫谷:私たち現場のコンサルタントは、このサービスをポジティブに受けとめ、期待を持って提供の準備に入りました。望月さんをはじめ、個人業務部のリードで勉強会を重ね、お客さまにしっかり紹介できるように準備。こうして、2023年4月より「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」の紹介が始まりました。

――READYFOR株式会社とはどのような組織ですか。また、提携によってどのようなサービスが始動したのでしょうか。

望月:READYFOR株式会社は、誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」を掲げ、クラウドファンディングサービスなどを提供している企業です。私たちは、READYFOR社が運営する「レディーフォー 遺贈寄付サポートサービス」と連携しています。フィランソロピーに関わる社会活動団体と幅広く関係を持っているのが強みで、遺贈寄付先に関する情報が豊富です。また、それぞれの団体の理念や活動内容も深く理解しています。このため、数ある団体の中から、お客さまの様々な意向に沿った寄付先を適切に提案することができます。関連団体には一般財団法人READYFOR財団があり、寄付先にはこの財団も指定できます。READYFOR財団に遺贈寄付された財産は、寄付されたお客さまの意向に沿った団体の助成に使われます。特に、不動産や有価証券などについて直接の寄付を受け入れていない団体に寄付をされたい方は、READYFOR財団を活用することで支援が可能になります。

「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」は、上図の仕組みで提供しています。お客さまは私たちが紹介したREADYFOR 社から遺贈寄付先の情報の提供や、寄付先選びのコンサルティングを受けます。遺贈寄付先の絞り込みとは別に、みずほ信託銀行のコンサルタントがサポートし、遺言の作成などを行っていきます。

望月 愛実

遺贈寄付を、さらに利用しやすく
協業による新たなサポートのかたち

――遺贈寄付への関心が高まっている現状がわかりました。そこで「お客さまの思いに、さらに寄り添う仕組み」について掘り下げてお聞かせください。

樫谷:私たち承継コンサルタントは、中立の立場で遺言書の作成をサポートする必要があるので、遺贈寄付をサポートする際も「寄付先選びや財産配分の具体的なアドバイス」ができません。寄付先のセレクトを含めて相談に乗ってほしいというお客さまの場合、寄付先の決定に時間がかかってしまうこともあります。また、どの団体にいくら寄付するかがあらかじめ決められていれば、遺言書の作成もスムーズに進みます。しかし、情報が整理しきれず、どの団体にどれだけ寄付するかがなかなか決められない場合、どうしても進行が滞りがちになっていたのです。

望月:お客さまが、より自分らしく、そしてスムーズに遺贈寄付ができないだろうか――私たちはこのように考えて検討を進め、READYFOR株式会社と提携を進めました。この提携により、お客さまの意向を尊重した遺贈寄付の支援が視野に入ったのです。

樫谷:私たち現場のコンサルタントは、このサービスをポジティブに受けとめ、期待を持って提供の準備に入りました。望月さんをはじめ、個人業務部のリードで勉強会を重ね、お客さまにしっかり紹介できるように準備。こうして、2023年4月より「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」の紹介が始まりました。

――READYFOR株式会社とはどのような組織ですか。また、提携によってどのようなサービスが始動したのでしょうか。

望月:READYFOR株式会社は、誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」を掲げ、クラウドファンディングサービスなどを提供している企業です。私たちは、READYFOR社が運営する「レディーフォー 遺贈寄付サポートサービス」と連携しています。フィランソロピーに関わる社会活動団体と幅広く関係を持っているのが強みで、遺贈寄付先に関する情報が豊富です。また、それぞれの団体の理念や活動内容も深く理解しています。このため、数ある団体の中から、お客さまの様々な意向に沿った寄付先を適切に提案することができます。関連団体には一般財団法人READYFOR財団があり、寄付先にはこの財団も指定できます。READYFOR財団に遺贈寄付された財産は、寄付されたお客さまの意向に沿った団体の助成に使われます。特に、不動産や有価証券などについて直接の寄付を受け入れていない団体に寄付をされたい方は、READYFOR財団を活用することで支援が可能になります。

「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」は、上図の仕組みで提供しています。お客さまは私たちが紹介したREADYFOR 社から遺贈寄付先の情報の提供や、寄付先選びのコンサルティングを受けます。遺贈寄付先の絞り込みとは別に、みずほ信託銀行のコンサルタントがサポートし、遺言の作成などを行っていきます。

左から:望月・樫谷

きめ細かいコンサルティングと知見で
おひとりさま・おふたりさまの想いをつなぐ

――「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」はどのように利用されているのでしょうか。実際の支援事例を教えてください。

樫谷:相続人がいないご夫婦、いわゆる「おふたりさま」の支援が、このサービスの第1号案件になりました。遺言ではお互いを受取人としつつ、「配偶者が亡くなっていた場合はREADYFOR財団に全財産を遺贈する」という内容を作成しました。不動産等の金銭以外の資産も受け入れ可能なREADYFOR財団を受遺者とすることで、お客さまは最期まで住み慣れたご自宅で過ごすことができ、相続発生後に不動産が残ってしまう不安も解消することができます。お客さまが亡くなった後は、財団が遺贈される財産を換価換金処分して、お客さまのご意向に合った団体を助成する仕組みです。

ご自宅以外の不動産は早期の整理をお勧めし、売却をサポートしました。このように、資産のポートフォリオを踏まえながら、お客さまのご意向に寄り添って一人ひとりに合わせた承継コンサルティングを行う技術は、私たちが以前から磨き上げてきたものです。遺贈寄付先選びはREADYFOR社が専門性を発揮してリードし、信託銀行ならではのきめ細かい支援で遺言信託を支えていく。新たな仕組みと、みずほ信託銀行ならではの支援が融合した事例になりました。一人のコンサルタントとしても、この支援を通してフィランソロピーについて理解が深まりました。まさに「実りのある挑戦」だったと感じています。

――第1号案件から、今後の支援に連なるケーススタディが生まれました。今後、遺贈寄付の支援では信託銀行ならではのサービスや、強みを持つコンサルティングをどのように発揮していきますか。

樫谷:何より、お客さまについて知ること、ご意向を把握することを大切にしています。「財産をどのように承継したいか」という希望にとどまらず、財産を築かれてきた背景や、どのような想いで財産の配分を考えていくのか。親族との関係を含め、どのような人生を歩んでこられたのか――背景をお伺いすることで、適切な承継のアプローチを模索し、提案していく。それが私たちのコンサルティングです。

望月:遺贈寄付に限るものではありませんが、円滑に資産を承継していくためには、お客さまや親族のご理解はもちろん、法令や税制面のフォローなど、押さえておくべきポイントが多くあります。そして、お客さまにとってはプライベートであり、センシティブな内容を取り扱うことになります。READYFOR社というパートナーも加わることで、さらに慎重に進めていくのは言うまでもありません。私たちを信頼いただき、ご開示いただいたお客さまの想いに応えるべく、常に誠実であることを念頭に置いています。

――「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」は、樫谷さんの1号案件が好例となりました。今後、このサービスを提供していくうえでの想いをお聞かせください。

樫谷:承継コンサルティングとは、お客さまの資産だけでなく、想いをつないでいくサポートだと考えています。つなぐ先は親族であり、今回の遺贈寄付のように想いを託す社会活動団体だったりします。どちらであっても、ご家族に託す想いや、社会を良くしたいという願いをつないでいく大切な役目です。お客さまに寄り添い、深く関わっていく中で、想いをしっかりと把握し、より良い提案につなげていきます。

コンサルタントは、あくまで「選択肢を提供する」という立ち位置になります。寄付先や寄付内容をお客さま自身が決める遺贈寄付において、このスタンスをあらためて意識しました。どのような承継であっても課題は立ちはだかるものですが、どのような局面でもお客さまが主体となって進めていくことを大切にしています。一人ひとりのお客さまに丁寧に向き合い、課題解決のお手伝いをしていく。その積み重ねが、フィランソロピーという理念につながれば幸いです。

望月:今回のサービスはフィランソロピーを強く意識していますが、お客さまを思い、その意向に真摯に向き合った中で生まれてきたものです。銀行は社会のインフラであり、お客さまの困りごとに対応するソリューションとしての機能も持っています。一過性の取り組みに終わらず、仕組みとして考えて提供していかなければ、という思いを新たにしました。今後も社会課題と信託のスキームを結びつけ、新たな商品を開発していきます。

そして、お客さまの困りごとに対応するのは現場です。第一線でお客さまのニーズを理解し、フィットする提案を行うのが、樫谷さんら、営業店の担当者です。コンサルタントがお客さまとのコミュニケーションに集中してもらえるよう、密にフォローしていくことも私のミッションです。引き続き、本部として円滑なバックアップを続けていきたいと思います。

左から:望月・樫谷

きめ細かいコンサルティングと知見で
おひとりさま・おふたりさまの想いをつなぐ

――「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」はどのように利用されているのでしょうか。実際の支援事例を教えてください。

樫谷:相続人がいないご夫婦、いわゆる「おふたりさま」の支援が、このサービスの第1号案件になりました。遺言ではお互いを受取人としつつ、「配偶者が亡くなっていた場合はREADYFOR財団に全財産を遺贈する」という内容を作成しました。不動産等の金銭以外の資産も受け入れ可能なREADYFOR財団を受遺者とすることで、お客さまは最期まで住み慣れたご自宅で過ごすことができ、相続発生後に不動産が残ってしまう不安も解消することができます。お客さまが亡くなった後は、財団が遺贈される財産を換価換金処分して、お客さまのご意向に合った団体を助成する仕組みです。

ご自宅以外の不動産は早期の整理をお勧めし、売却をサポートしました。このように、資産のポートフォリオを踏まえながら、お客さまのご意向に寄り添って一人ひとりに合わせた承継コンサルティングを行う技術は、私たちが以前から磨き上げてきたものです。遺贈寄付先選びはREADYFOR社が専門性を発揮してリードし、信託銀行ならではのきめ細かい支援で遺言信託を支えていく。新たな仕組みと、みずほ信託銀行ならではの支援が融合した事例になりました。一人のコンサルタントとしても、この支援を通してフィランソロピーについて理解が深まりました。まさに「実りのある挑戦」だったと感じています。

――第1号案件から、今後の支援に連なるケーススタディが生まれました。今後、遺贈寄付の支援では信託銀行ならではのサービスや、強みを持つコンサルティングをどのように発揮していきますか。

樫谷:何より、お客さまについて知ること、ご意向を把握することを大切にしています。「財産をどのように承継したいか」という希望にとどまらず、財産を築かれてきた背景や、どのような想いで財産の配分を考えていくのか。親族との関係を含め、どのような人生を歩んでこられたのか――背景をお伺いすることで、適切な承継のアプローチを模索し、提案していく。それが私たちのコンサルティングです。

望月:遺贈寄付に限るものではありませんが、円滑に資産を承継していくためには、お客さまや親族のご理解はもちろん、法令や税制面のフォローなど、押さえておくべきポイントが多くあります。そして、お客さまにとってはプライベートであり、センシティブな内容を取り扱うことになります。READYFOR社というパートナーも加わることで、さらに慎重に進めていくのは言うまでもありません。私たちを信頼いただき、ご開示いただいたお客さまの想いに応えるべく、常に誠実であることを念頭に置いています。

――「レディーフォー遺贈寄付サポートサービス」は、樫谷さんの1号案件が好例となりました。今後、このサービスを提供していくうえでの想いをお聞かせください。

樫谷:承継コンサルティングとは、お客さまの資産だけでなく、想いをつないでいくサポートだと考えています。つなぐ先は親族であり、今回の遺贈寄付のように想いを託す社会活動団体だったりします。どちらであっても、ご家族に託す想いや、社会を良くしたいという願いをつないでいく大切な役目です。お客さまに寄り添い、深く関わっていく中で、想いをしっかりと把握し、より良い提案につなげていきます。

コンサルタントは、あくまで「選択肢を提供する」という立ち位置になります。寄付先や寄付内容をお客さま自身が決める遺贈寄付において、このスタンスをあらためて意識しました。どのような承継であっても課題は立ちはだかるものですが、どのような局面でもお客さまが主体となって進めていくことを大切にしています。一人ひとりのお客さまに丁寧に向き合い、課題解決のお手伝いをしていく。その積み重ねが、フィランソロピーという理念につながれば幸いです。

望月:今回のサービスはフィランソロピーを強く意識していますが、お客さまを思い、その意向に真摯に向き合った中で生まれてきたものです。銀行は社会のインフラであり、お客さまの困りごとに対応するソリューションとしての機能も持っています。一過性の取り組みに終わらず、仕組みとして考えて提供していかなければ、という思いを新たにしました。今後も社会課題と信託のスキームを結びつけ、新たな商品を開発していきます。

そして、お客さまの困りごとに対応するのは現場です。第一線でお客さまのニーズを理解し、フィットする提案を行うのが、樫谷さんら、営業店の担当者です。コンサルタントがお客さまとのコミュニケーションに集中してもらえるよう、密にフォローしていくことも私のミッションです。引き続き、本部として円滑なバックアップを続けていきたいと思います。

(2024年03月11日)

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