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みずほ信託銀行
ストラクチャードプロダクツ営業部

長木 隆直

みずほ信託銀行
コンサルティング部

内山 祐次郎

みずほ信託銀行
福岡支店

安部 翔悟

企業が安定して、永続的に活動していくために
「ファミリービジネストラスト」が安心の事業承継を支える

日本の企業のうち実に*99.7%を占める中小企業。今、そこでは「事業承継」が大きな課題となっている。オーナー社長の高齢化が進む一方、承継の準備が進んでいない現状がある。みずほ信託銀行が提供するオーダーメイド型の事業承継信託(以降「ファミリービジネストラスト」)は、事業承継をオーダーメイドで支援するソリューションだ。現場でお客さまの課題に向き合った安部氏、事業承継支援を多数手がけてきた内山氏、そして、2人と連携して実効性のある仕組み作りを支えた長木氏に登場いただき、サステナブルな企業活動に資するソリューションの真価を紹介する。

*出典:中小企業白書(2020年版)

長木 隆直

後継者不在のオーナー企業に迫る、廃業の現実
今、そこにある「事業継続」の危機

――オーナー企業の事業承継が問題として指摘されています。どのような問題なのでしょうか。

長木:中小企業が日本の企業に占める割合は*99.7%に及んでおり、日本の経済と雇用の根幹を支える存在です。しかし、経営者の高齢化は顕著で、1995年から2015年の20年間で、経営者年齢のピークは66歳に伸び、高齢化が進んでいます。しかし70~80代の経営者のうち半数以上が事業承継の準備をしていない。つまり、後継者が未定なのです。現状のまま進むと多くの雇用や技術が失われ、経済にも深刻な影響が及びかねません。強力なリーダーシップによって企業が運営されている一方、永続的な事業の継続、つまりサステナビリティという意味では大きな課題となっているのです。

*出典:中小企業白書(2020年版)

――事業承継を円滑に進めるために、どのようなサポートが考えられるのでしょうか。

内山:事業承継には「資産の承継」と「経営の承継」という2つの承継があります。 2 つが重なる共通部分が自社株式の承継です。「資産の承継」は、自社株式という大きな財産を引き継ぐことになり、税金の不安がついて回ります。順調に成長している会社では、株式を承継するタイミングが後になるほど株価が上昇し、後継者は多額の納税を要するケースもあります。一方、あまりに早いタイミングで後継者に株式を承継すると、「経営の承継」が不十分な状態で後継者が会社の支配権を握ってしまうことに。取引先や従業員に不安を与えてしまい、安定的な企業運営に支障をきたしてしまう可能もあります。育てた会社を引き継ぐことは企業オーナーの一大関心事であり、会社の将来を左右し、ステークホルダーにとっても極めて重要な課題なのです。

――承継のタイミングによってはトラブルを招きかねないわけですね。相続に関連する税制、資産管理に通じたプロフェッショナルの介在が必要な背景がわかります。

内山:オーナー社長には、後継者以外にも配偶者やお子さま、お孫さまといった大切なご家族がいらっしゃることがあります。そこで、お子さまの一人を後継者と定めて自社株式を承継させる場合、他の家族の遺留分を侵害してしまうケースもあります。みなさん、「うちは家族全員、仲がいいから、相続で揉めることはない」と考えますが、時には「争」続に発展してしまうことも。つまり、経営の承継だけではなく資産の承継、自社株式だけでなく預金や不動産も含め、財産全体を誰にどのように引き継ぐかを早期に検討しておくことが欠かせません。そこで、私たち信託銀行がお役に立てるのです。こうして創り出されたのが、オーナー社長の課題解決に資するファミリービジネストラストです。これは支店でお客さまの提案に携わるメンバーから上がってきた声を基に生まれたものです。

長木 隆直

後継者不在のオーナー企業に迫る、廃業の現実
今、そこにある「事業継続」の危機

――オーナー企業の事業承継が問題として指摘されています。どのような問題なのでしょうか。

長木:中小企業が日本の企業に占める割合は *99.7%に及んでおり、日本の経済と雇用の根幹を支える存在です。しかし、経営者の高齢化は顕著で、1995年から2015年の20年間で、経営者年齢のピークは66歳に伸び、高齢化が進んでいます。しかし70~80代の経営者のうち半数以上が事業承継の準備をしていない。つまり、後継者が未定なのです。現状のまま進むと多くの雇用や技術が失われ、経済にも深刻な影響が及びかねません。強力なリーダーシップによって企業が運営されている一方、永続的な事業の継続、つまりサステナビリティルという意味では大きな課題となっているのです。

*出典:中小企業白書(2020年版)

――事業承継を円滑に進めるために、どのようなサポートが考えられるのでしょうか。

内山:事業承継には「資産の承継」と「経営の承継」という2つの承継があります。 2 つが重なる共通部分が自社株式の承継です。「資産の承継」は、自社株式という大きな財産を引き継ぐことになり、税金の不安がついて回ります。順調に成長している会社では、株式を承継するタイミングが後になるほど株価が上昇し、後継者は多額の納税を要するケースもあります。一方、あまりに早いタイミングで後継者に株式を承継すると、「経営の承継」が不十分な状態で後継者が会社の支配権を握ってしまうことに。取引先や従業員に不安を与えてしまい、安定的な企業運営に支障をきたしてしまう可能もあります。育てた会社を引き継ぐことは企業オーナーの一大関心事であり、会社の将来を左右し、ステークホルダーにとっても極めて重要な課題なのです。

――承継のタイミングによってはトラブルを招きかねないわけですね。相続に関連する税制、資産管理に通じたプロフェッショナルの介在が必要な背景がわかります。

内山:オーナー社長には、後継者以外にも配偶者やお子さま、お孫さまといった大切なご家族がいらっしゃることがあります。そこで、お子さんまの一人を後継者と定めて自社株式を承継させる場合、他の家族の遺留分を侵害してしまうケースもあります。みなさん、「うちは家族全員、仲がいいから、相続で揉めることはない」と考えますが、時には「争」続に発展してしまうことも。つまり、経営の承継だけではなく資産の承継、自社株式だけでなく預金や不動産も含め、財産全体を誰にどのように引き継ぐかを早期に検討しておくことが欠かせません。そこで、私たち信託銀行がお役に立てるのです。こうして創り出されたのが、オーナー社長の課題解決に資するファミリービジネストラストです。これは支店でお客さまの提案に携わるメンバーから上がってきた声を基に生まれたものです。

安部 翔悟

それぞれの企業に、それぞれの承継がある
信託銀行が事業承継の課題を考え、取組む理由

――お客さまに接する支店の現場からは、どのようなニーズが上がってきていたのでしょうか。

安部:先ほど、長木さんに事業承継における課題を語っていただきましたが、私が直面したのもオーナー社長の事業承継問題です。ある企業では、創業者が一代で上場まで企業を成長させたものの、お子さまが会社を継ぐ意志・能力はまだ不明であり、経営権を渡すことに不安がある状況にあり、経営、そして資産の承継に課題を抱えていたのです。どうにかできないかと考え、コンサルティング部の内山さんと連携し、お客さまとディスカッションを重ねました。そこでお悩みを深掘りした上で、ストラクチャードプロダクツ営業部の長木さんに相談し、具体的なスキーム組成に動いたという次第です。

内山:オーナー社長と顔を突き合わせてコンサルティングにあたる中で思うのは、会社の数だけ、そして家族の数だけ課題がある、ということです。株価の上昇と株式承継のタイミングの妙について述べましたが、オーナー社長からは、「この先、認知機能が低下すると経営にタッチするのが難しくなり、議決権が行使できなくなるかもしれない。相続の前に引き継ぎを考えておきたい」と悩む声も寄せられました。

こうした、実に多様な課題を解決する手段の一つとして、まさに信託が役に立てると考えています。これまでの承継では、遺言を提案するケースが多くありました。ただ、遺言は次の代までしか渡す方を指定することができません。一方、信託は、例えば孫の代まで株式の渡す方を決めることができます。私が着目し、長木さんらと検討する中で出てきたものこそ、信託ならではのソリューションです。

長木:財産権(経済的価値)と議決権(経営権)を分離できるのも信託の特徴です。オーナー社長が、会社の一定の株式を保有している場合、万が一の相続発生に備える必要があります。会社経営に明るくない人に株式が承継され議決権を保有することで、企業の経営が混乱してしまうことも。信託であれば、株式は先に後継者に渡しつつ、経営権は引き続き留保し、経営権を誰に渡すかをじっくり決めることもできます。当部は信託をオーダーメイドでカスタマイズするというノウハウに長けています。信託の長所を生かしつつ、困りごとを抱えているお客さまにオーダーメイドで株式の承継を支援する仕組み、私たちがファミリービジネストラストと名づけるソリューションが見えてきました。

――オーダーメイドで承継を支援するファミリービジネストラスト。どのようなケースでお客さまを支援してきたのでしょうか。

長木:例えば、「委員会型」のファミリービジネストラストとして、オーナー社長があらかじめ信頼できる複数名を指名し、「議決権行使委員会」を組成。これはオーナー社長に万が一のことが起こり、相続が発生した場合に、会社が混乱してしまうリスクに備えるものです。株式は相続人であるお子さまに渡しつつ、会社の経営判断は委員会メンバーが担うのです。

安部:このケースでは、ご一族、ご家族の思いを反映したいと強く願うオーナーさまの想いを実現する仕組みづくりを支援しました。委員会のメンバーも、経営陣や弁護士といった専門家が多くなることもありますが、オーナーさまの希望を取り入れ、できるだけご家族を委員会メンバーに加えつつ、経営陣や専門家の助言を踏まえてご家族も経営判断に参画できるような委員会を構成していきました。この議決権行使の仕組みは、まさにオーダーメイドだからできたことだと考えています。

安部 翔悟

それぞれの企業に、それぞれの承継がある
信託銀行が事業承継の課題を考え、取組む理由

――お客さまに接する支店の現場からは、どのようなニーズが上がってきていたのでしょうか。

安部:先ほど、長木さんに事業承継における課題を語っていただきましたが、私が直面したのもオーナー社長の事業承継問題です。ある企業では、創業者が一代で上場まで企業を成長させたものの、お子さまが会社を継ぐ意志・能力はまだ不明であり、経営権を渡すことに不安がある状況にあり、経営、そして資産の承継に課題を抱えていたのです。どうにかできないかと考え、コンサルティング部の内山さんと連携し、お客さまとディスカッションを重ねました。そこでお悩みを深掘りした上で、ストラクチャードプロダクツ営業部の長木さんに相談し、具体的なスキーム組成に動いたという次第です。

内山:オーナー社長と顔を突き合わせてコンサルティングにあたる中で思うのは、会社の数だけ、そして家族の数だけ課題がある、ということです。株価の上昇と株式承継のタイミングの妙について述べましたが、オーナー社長からは、「この先、認知機能が低下すると経営にタッチするのが難しくなり、議決権が行使できなくなるかもしれない。相続の前に引き継ぎを考えておきたい」と悩む声も寄せられました。

こうした、実に多様な課題を解決する手段の一つとして、まさに信託が役に立てると考えています。これまでの承継では、遺言を提案するケースが多くありました。ただ、遺言は次の代までしか渡す方を指定することができません。一方、信託は、例えば孫の代まで株式の渡す方を決めることができます。私が着目し、長木さんらと検討する中で出てきたものこそ、信託ならではのソリューションです。

長木:財産権(経済的価値)と議決権(経営権)を分離できるのも信託の特徴です。オーナー社長が、会社の一定の株式を保有している場合、万が一の相続発生に備える必要があります。会社経営に明るくない人に株式が承継され議決権を保有することで、企業の経営が混乱してしまうことも。信託であれば、株式は先に後継者に渡しつつ、経営権は引き続き留保し、経営権を誰に渡すかをじっくり決めることもできます。当部は信託をオーダーメイドでカスタマイズするというノウハウに長けています。信託の長所を生かしつつ、困りごとを抱えているお客さまにオーダーメイドで株式の承継を支援する仕組み、私たちがファミリービジネストラストと名づけるソリューションが見えてきました。

――オーダーメイドで承継を支援するファミリービジネストラスト。どのようなケースでお客さまを支援してきたのでしょうか。

長木:例えば、「委員会型」のファミリービジネストラストとして、オーナー社長があらかじめ信頼できる複数名を指名し、「議決権行使委員会」を組成。これはオーナー社長に万が一のことが起こり、相続が発生した場合に、会社が混乱してしまうリスクに備えるものです。株式は相続人であるお子さまに渡しつつ、会社の経営判断は委員会メンバーが担うのです。

安部:このケースでは、ご一族、ご家族の思いを反映したいと強く願うオーナーさまの想いを実現する仕組みづくりを支援しました。委員会のメンバーも、経営陣や弁護士といった専門家が多くなることもありますが、オーナーさまの希望を取り入れ、できるだけご家族を委員会メンバーに加えつつ、経営陣や専門家の助言を踏まえてご家族も経営判断に参画できるような委員会を構成していきました。この議決権行使の仕組は、まさにオーダーメイドだからできたことだと考えています。

内山 祐次郎

目指すのはサステナブルな企業のかたち
私たち、信託銀行が支えていく

――お客さまに寄り添い、ベストな承継を模索するソリューションの姿が見えてきました。オーナー企業の支援に携わる想いをお聞かせください。

安部:お客さまにご提案する際には、短期的な視点ではなく、中長期的な視点で関係を築き、サポートしていくことこそ、信託銀行である私たちの役割だと考え取り組んでいます。中長期的な視点の重要性、それは私の学生時代の経験に拠るものです。私は学生時代に、少年サッカーのコーチとして小中学生を指導してきました。そこで感じたのは、試合に勝つという目先のことだけではなく、一人ひとりの成長度合い、伸びしろを見極めて子どもたちに向き合っていくことの大切さでした。

目に見えて成長する子どもたちがフィールドで躍動する姿を見るのは、何とも言えない感慨があります。ファミリービジネストラストを通し、一社一社と向き合い、持続的な発展に向け支援していく。そこに私の達成感、そして大きな喜びがあります。

内山:コンサルティング業務に当たる中で、「信託という仕組みでこんなことができるのか!?」というお客さまの反応をいただくこともあります。それは、この会社に入って私が感じたことでもあります。信託の仕組みに大いなる可能性を感じ、お客さまのためになること。それを考え続けることは大きな喜びです。

会社によって業務種も事業規模も違えば、オーナーさまが置かれている立場も、直面する課題も異なります。その会社の、そのオーナーさまのニーズにどうやって応えていくか。追求することがあるべきコンサルティングの姿だと考えています。みずほフィナンシャルグループには、信託以外にも多くのソリューション、商品、サービスがあります。信託の枠にとらわれず、グループのシナジーを活用し、新たな提案につなげていければ、ニーズに沿った提案が信頼につながり、さらに新たな価値を創出できるでしょう。

長木:事業承継を考えること、それはサステナブルな企業のあり方を考えることでもあります。オーナー社長が経営という本業に集中するため、次代への憂いをなくしていただく。オーナー社長に急な出来事があっても次代・家族が安心・安全に思う形をしっかり備えておく。それが「転ばぬ先の杖」としての信託だと考えています。サステナブルな事業活動を支えていくため、信託という仕組みを提供するのが私たちの役割です。

安部さんのような支店のメンバーがお客さまのニーズを聞き取り、内山さんをはじめとするコンサルティング部が知見を盛り込んだアイディアを出してくれます。そこでまとまったものを、いかに実務に耐えるソリューションとして組み上げるかが私の役目です。ニーズを収集して課題を見出し、多視点で解決策を提案してソリューションにする――それぞれの専門性を如何なく発揮していくことが、みずほ信託銀行の強みだと考えています。今後も共に描いたソリューションを提供し、オーナー企業のサステナブルな経営に寄与していければと考えています。

内山 祐次郎

目指すのはサステナブルな企業のかたち
私たち、信託銀行が支えていく

――お客さまに寄り添い、ベストな承継を模索するソリューションの姿が見えてきました。オーナー企業の支援に携わる想いをお聞かせください。

安部:お客さまにご提案する際には、短期的な視点ではなく、中長期的な視点で関係を築き、サポートしていくことこそ、信託銀行である私たちの役割だと考え取り組んでいます。中長期的な視点の重要性、それは私の学生時代の経験に拠るものです。私は学生時代に、少年サッカーのコーチとして小中学生を指導してきました。そこで感じたのは、試合に勝つという目先のことだけではなく、一人ひとりの成長度合い、伸びしろを見極めて子どもたちに向き合っていくことの大切さでした。

目に見えて成長する子どもたちがフィールドで躍動する姿を見るのは、何とも言えない感慨があります。ファミリービジネストラストを通し、一社一社と向き合い、持続的な発展に向け支援していく。そこに私の達成感、そして大きな喜びがあります。

内山:コンサルティング業務に当たる中で、「信託という仕組みでこんなことができるのか!?」というお客さまの反応をいただくこともあります。それは、この会社に入って私が感じたことでもあります。信託の仕組みに大いなる可能性を感じ、お客さまのためになること。それを考え続けることは大きな喜びです。

会社によって業務種も事業規模も違えば、オーナーさまが置かれている立場も、直面する課題も異なります。その会社の、そのオーナーさまのニーズにどうやって応えていくか。追求することがあるべきコンサルティングの姿だと考えています。みずほフィナンシャルグループには、信託以外にも多くのソリューション、商品、サービスがあります。信託の枠にとらわれず、グループのシナジーを活用し、新たな提案につなげていければ、ニーズに沿った提案が信頼につながり、さらに新たな価値を創出できるでしょう。

長木:事業承継を考えること、それはサステナブルな企業のあり方を考えることでもあります。オーナー社長が経営という本業に集中するため、次代への憂いをなくしていただく。オーナー社長に急な出来事があっても次代・家族が安心・安全に思う形をしっかり備えておく。それが「転ばぬ先の杖」としての信託だと考えています。サステナブルな事業活動を支えていくため、信託という仕組みを提供するのが私たちの役割です。

安部さんのような支店のメンバーがお客さまのニーズを聞き取り、内山さんをはじめとするコンサルティング部が知見を盛り込んだアイディアを出してくれます。そこでまとまったものを、いかに実務に耐えるソリューションとして組み上げるかが私の役目です。ニーズを収集して課題を見出し、多視点で解決策を提案してソリューションにする――それぞれの専門性を如何なく発揮していくことが、みずほ信託銀行の強みだと考えています。今後も共に描いたソリューションを提供し、オーナー企業のサステナブルな経営に寄与していければと考えています。

(2022年10月21日)

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